岡本静嘉堂緑地の異世界へ

静嘉堂緑地は世田谷区の岡本にある。

別名「岡本もみじが丘」。


明治の時代に三菱財閥を興した岩崎家が所有していた土地で、昭和20年頃まで庭園として管理されていたが、その後は人の出入りがなくなり、貴重な自然が残った。

丘の上には、岩崎家が収集した古書を収蔵する静嘉堂文庫と、岩崎家の霊廟がある。

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最寄りの鉄道駅は東急線二子玉川か用賀だが、どちらの駅からも2km弱ある(二子玉川駅からバスが出ている)。

市街地から離れた丘の上に、東京23区内とは思えない自然と財閥の文化財が残る異世界だ。

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左から倒れてきそうな森が静嘉堂緑地

 

静嘉堂緑地は北を谷戸川、南を丸子川が流れ、谷に囲まれている。

緑地の中へは、北にある静嘉堂文庫正門か、南にある岡本公園脇の階段を登って静嘉堂文庫の裏門から入ることができる(両方とも日によって閉まっていることがあるから、わざわざ訪れる人は事前に問い合わせした方がよいでしょう)。

いずれにしても、異世界へアクセスするためには、丘を登らなければならない。

 

南からのルートは、国分寺崖線の崖を登る急階段だ。

北の正門から入って、それよりは緩やかな坂道を行ってみよう。

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正門から入り舗装された坂道を登る

 

登り坂の起点の右横に脇道がある。

脇道を入ってみると、「トンボの湿地」に出た。

湧水による小川と池のある、ひっそりとした場所だ。

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坂を登りきると、丘の上の広場に出た。

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バスクリン色の池に金魚がいる

 

静嘉堂文庫の建物がある。

大正期に建てられた、シンプルでシックな洋館だ。

外壁のモコモコした溝のあるタイルは、「スクラッチタイル」というらしい。

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静嘉堂文庫は、岩崎家が収集した東洋の古書を所蔵する図書館だが、しかるべき紹介状を持った研究者しか入館できない。

だから私のような一般人は、建物の外観を鑑賞するのみである。

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静嘉堂文庫の隣には静嘉堂美術館があるが、展示ギャラリーの丸の内への移転が決まり、今はもう閉館している。

こちらの建物は近代的だが、コレクションはやはり岩崎家が収集した東洋の古美術品で、世界に三つしかない(三つとも日本にある)「曜変天目茶碗」をはじめとする国宝を7点も含む。

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曜変天目茶碗
静嘉堂美術館のwebサイトより)

 

静嘉堂文庫と美術館のコレクションは、三菱財閥二代目総帥の岩崎彌之助とその子小彌太が収集したもの。

その目的には、明治維新後の急速な西洋化により軽視されるようになった東洋文化を守りたいという、彼らの使命感があったといわれる。

 

美術館には誰でも入ることができたので、丸の内への移転が完了すれば、その貴重な美術品をまた鑑賞できるだろう。

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俵屋宗達源氏物語関屋澪標図屏風
静嘉堂美術館のwebサイトより)

 

広場の東には、雑木林が広がっている。

雑木林を少し入った所に、岩崎家の霊廟(納骨堂)がある。

あの鹿鳴館を設計したジョサイア・コンドルのデザインによるものだ。

ギリシャ正教風十字プランといって、上から見ると十字架の形をしている。

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手前の両サイドに狛犬が鎮座している。

狛犬も、そこいらの狛犬とはどこか違い、セレブな感じだ。

伝統的な狛犬は右が獅子で左が犬らしいが、彼らはどちらも威厳のある獅子だった。

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雑木林の更に奥へ行ってみる。

雑木林の南側は、落差が20m近くにもなる、国分寺崖線の崖だ。

崖の斜面一帯は「生物の森」となっていて、自然環境を守るため人の立ち入りが制限されている。

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「生物の森」へ降りる急な階段

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しかし「生物の森」は立入禁止
ここから最初に丘を登った坂の起点に戻れる

 

もともと、マイナーな静嘉堂緑地。

美術館が丸の内に移れば、訪れる人は更に減るだろう。

岩崎親子が収集した東洋の宝は、より多くの人に観られた方がよいから、美術館の移転は決まってよかったと思う。

美術館が移転しても、庭園や林の管理は続けられると聞いているが、数年後の静嘉堂緑地はどんな場所になっているだろう。

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雑木林の中にミステリースポットを発見。

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わずかに盛り上がった土の上に、家の形の石像が一つ。

少し離れた所にキノコ型の石像が三つ。

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岩崎家とは関係なさそうだな。